事例紹介 Case study

宮城県牡鹿郡女川町 「マッシュパーク 女川」 造形遊具

マッシュパーク女川
公園整備計画
アート遊具の製作

コラボレーションの事例

第38回都市公園等コンクール 材料・工法・施設部門
一般社団法人日本公園緑地協会会長賞を受賞

受賞作品
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受賞作品
概要
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公園全景

公園全景

私たちにとって新たな挑戦です

ウミウシくん・初期ドローイング

宮城県女川町への震災復興支援事業の一環として、 ファッション、ビューティー、飲食、デザインなどを手掛 ける民間企業の株式会社マッシュホールディングス が計画した公園が、2021年8月19日完成し女川町に 寄贈されました。
本公園は、マッシュホールディングスが 「子どもたちの笑顔、未来の力」をテーマに彫刻家・高田洋一氏にアート遊具の制作を依頼。
作家はウミウシ、ヒトデ、サンゴ、チンアナゴ、カイ、 など海の生き物の姿をモチーフにし、アート遊具を計5基を計画しました。遊具制作の初期段階から、我々、株式会社アンスと有限会社フラットが参加し、作家と共に作品を制作、設置まで担当しました。

公園内には「すべり面」を持つ遊具だけでなく、登れる アート、万華鏡のようなステンレスのアートなど、幅広 い素材と技術によって作られた遊べるアート遊具が、誕生しました。
海を臨む公園で、子どもたちにも、大人の方々にも、身体全体でアート遊具と遊んで頂き、自然と親しんで頂ければと思います。
今回、我々はわが国遊具作品初の技術的試みとして、遊具全体を「弾性舗装材」で覆うという挑戦をしました。
これによって従来のコンクリート遊具の安全性を高め、コンクリート遊具の枠組みから外れることで、自由な造形性を獲得することが実現できました。
これは私たちメーカーにとっての新たな挑戦です。 

「すごいものができるんだ」と何度も声を掛けられる

ウミウシくん・初期ドローイング

ウミウシくん・初期ドローイング

「プラスチックの遊具を組み立てて終わるのかと思ったら、現場で鉄筋から組み始めて、どんどんカラフルなウミウシのカタチになってきて、すごいものができるんだと思った」と、真夏の現場作業中、町の方々から何度も声をかけて頂いて、私は正直驚いた。 私たちが作っている遊具を、早くも町の人に受け止めて貰えていることが嬉しかった。
子供たちが遊びを通じて、美と世界を同時に体感する「アート遊具」の可能性は大きい。 わが国の行政は「遊具」を「アート」とは定義していない。しかし作家の「遊具」は子どもたちを惹きつける。行政もこれまでと異なる管理姿勢を模索し始めてくれている。

勿論、社会的な存在である「遊具」には、高い安全性が求められる。当然、遊具の表現は多くの制限を受ける。作家は自由に制作ができるわけではない。そのため作家によっては自分の実力を充分には発揮できないこともあるだろう。
東日本大震災後、自分にできることについて模索するなか、女川町の支援活動として遊具制作の話を頂いたのは正に天恵だった。制約の多い分野だが、私のパブリックアートでの経験が活きる仕事でもある。技術者と議論するなか「弾性舗装材」を活用すること で「安全性」を担保しつつ、制作の自由度を拡大できた。自ずと子どもたちのアクティビティも高まる。技術による我々の成果だ。 連日公園には大勢の子供たち保護者が訪れ、終日遊具と戯れている。作家とメーカーの協力で遊具の可能性を広げてゆきたい。

高田洋一/美術家、彫刻家

技術深化と素材応用、職人の挑戦でアート遊具は生まれました

プランを可視化する3次元模型、意匠を生かす構造計算、有機的な形状を生み出す鉄筋造形、コンクリート左官技術、従来常識を覆すゴム素材左官工法、塩害に耐える亜鉛メッキとフッ素樹脂塗装、高精度なステンレス溶接技術と鏡面仕上加工など、異なる分野の技術者、職人、作家の力を結集させ、多様な技術、素材を総合して「マッシュパーク 女川」のアート遊具群は生まれました。

「海と暮らすまち」の新たな資産

周辺は女川町海岸広場という多目的なオープンスペースです。海を背景に子どもたちが歓声を上げて色鮮やかな遊具で 遊ぶ光景は、すぐに「海と暮らすまち」女川町に相応しいものとなりました。桜が囲み、レンガのスロープが伸びて、公園は まちの一部にとけ込みました。この新たな水辺がこれからもまちの魅力になり続けることを願っています。

小野寺康都市設計事務所
代表 小野寺 康

サンゴちゃん Φ7400×H:2650(㎜) コンクリート、弾性舗装材

最高の笑顔を生み出す場所

震災後、社内で何度も話し合いを重ねた結果、「復興地の子どもたちが 最高の笑顔になれる場所をつくる」ことを決意しました。
海の見える美しい景色を大切にする町の公園だからこそ、遊具のモチーフには海の生き物を選びました。
マッシュパーク女川が女川町にとっての新しい色となり、子どもたちの 笑顔と思い出を生み出す場所になることを心から願っています。

株式会社マッシュホールディングス
代表取締役社長 近藤広幸

ウミウシくん L:12000×W:7000×H:2000(㎜)コンクリート、弾性舗装材

子どもの創造力を刺激する

公園を訪れた方々から寄せられた声

  • どこからでも自由に登って滑れる遊具たちなので、子どもの創造力を刺激 するものだと思いました。子どもにとって最初のアートです。(40代女性)
  • ウミウシくんのすべり台、大人も十分楽しめます。(30代男性)
  • カイちゃんのすべり台、小さい子も楽しく遊べて嬉しい。(30代女性)
  • 風景に溶け込んで見ているだけでも楽しい公園です。(旅行者 50代男性)
  • チンアナゴくんもいろいろな遊びができるので楽しい。(20代女性)
  • ヒトデくん、万華鏡のようでキレイですね。(30代女性)
  • アートな公園ですよね。(旅行者 40代男性)

遊具がとてもカラフルでオシャレ

遊具がとてもカラフルでオシャレ、SNS映えしますね。わが家の子どもたちもテンション高く遊ん でいました。他の子どもたちも同じようにはしゃいでいました。どの遊具もとてもカワイイです。 ゴムの面は滑りにくくて、柔らかいので安心感があります。すべり台になっている面は白いので あまり熱くならないんですね。遊んでいる子どもたちが快適そうでした。(旅行者 30代女性)

カイちゃん H:400~650×1300~1800(㎜)×3基 コンクリート、弾性舗装材

コラボレーションの事例

Data

「マッシュパーク 女川」公園整備計画

  • 事業名:「マッシュパーク 女川」公園整備計画
  • 開園:2021年8月19日
  • テーマ:「子どもたちの笑顔、未来の力」
  • 所在地:〒986-2261 宮城県牡鹿郡女川町海岸通り2番地
  • 提供/施主:株式会社マッシュホールディングス
  • 総合監修:近藤広幸/株式会社マッシュホールディングス 代表取締役社長
    畠山広文/株式会社マッシュデザインラボ 代表取締役社長
  • 実施設計:小野寺 康/小野寺康都市設計事務所
  • 施工:鹿島建設株式会社
  • アート遊具制作:高田洋一/彫刻家・美術家
  • 設計/製作:株式会社アンス(ウミウシくん、サンゴちゃん、カイちゃん)
  • 設計/製作:有限会社フラット(ヒトデくん、チンアナゴくん)

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